乳がん検診について
現在では、日本人女性の9人に1人が乳癌にかかるといわれています。年齢別にみると、40歳代から50歳代に多いため、多くの自治体では40歳以上からの検診が行われています。
乳がんは、早期に発見し、治療を行えば治るがんです。
乳がんについて
- 乳がんになりやすいタイプってあるのですか?
- 乳がん検診まずは、下記をチェックしてみてください。
- 肥満体型である。
- 初潮が早い。
- 食生活に偏りがある。
- 糖尿病がある
- たばこを吸う。
- 週2回以上アルコールを飲む。
- 定期的に運動をしていない。
- 運動が苦手である。
- 年齢が50歳以上である。
- 出産経験がない。
- 授乳経験がない。
- 母や姉妹でがんの患者さんがいる
年齢などはどうすることもできませんが、食生活等の生活習慣などについて改善できる部分は改善するといいでしょう。
例えば、- 食生活では、肉、野菜、果物、乳製品、大豆食品などをまんべんなく食べる。
- 1日30分以上、少し汗をかくような運動をする(特に閉経後)。
- 太り過ぎない肥満度指数=体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)
30以上は太りすぎ、25~30未満は太り気味、20~25は標準、20未満はやせ過ぎ
- 乳がんになる女性が増えていると聞きましたが、どうしてですか?
- 乳がんは、比較的若い30~40代の女性でも発症することの多いがんです。今、日本人の女性の9人に1人が乳がんにかかると言われています。また、日本女性がかかるがんの中で最も多いものが乳がんであり、若い女性のがんの死亡原因のトップが乳がんです。「まだ若いから」と油断してはいけません。
昔に比べると、初潮年齢が早く、子どもを産む回数が減っていることから、生涯の月経回数が多くなっていること、不規則な生活、睡眠不足、ストレスなどによるホルモンバランスの変化、食生活の変化などが、原因として考えられています。 - 胸が大きいとなりやすいというのは、本当ですか?
- 乳房の大きさと乳がんのかかりやすさは関係ありません。
- 授乳中でも検診は受けられますか?
- マンモグラフィ検査は適しませんが、超音波検査はできます。授乳中や妊娠中は、乳腺が発達していて、乳がんの発見が遅れやすいので、気になったら受診しましょう。
- 乳がんの自己検診について教えてください。
- 乳がんを見つけるには、定期的に検診を受けることも大切ですが、毎月1回でいいので、自己検診してみることも大切です。自己検診は、生理前後1週間をはずして行うといいそうです。忘れないように、毎月何日というように決めておくとよいですね。
- 乳がんの自己検診(セルフチェック)は、何歳頃から始めたらよいのですか?
- 20歳代から、毎月1回の自己検診を始めましょう。普段の自分の体を知ることで、異常が起こったときに気づきやすくなることもあります。
- 自己検診を毎月行っています。特に問題ないと思うので、定期検診を受けなくていいですか?
- 自己検診を毎月行うことは大切ですが、「検診を受けるのは症状がないから受ける」ということです。何らかの症状がある場合は、すぐに病院で診察・検査を受けましょう。自己検診を行うと同時に、検診を最低2年に1回は定期的に受けることを合わせて行うことが大切です。
- どのような症状があったら、病院で診てもらったほうがいいのですか?
- こんな症状がある場合は、すぐに病院でみてもらいましょう。
- 乳房にしこり、くぼみ、盛り上がりがある
- 乳首のへこみがある
- 乳首から分泌物が出る
- わきの下にしこりがある
- 以前はなかった赤みがでてきた・・・などです。
- しこりって、どんなものですか?
- 保健所や、各保健センターなどには、乳がんのしこりの模型があるので、機会があればさわってみるといいですよ。自宅では、例えばこんにゃくを2枚用意して、その間に梅干の種をはさんで、上から触ってみる感触が似ているようです。
- わきの下にしこりがあるような気がします。
- 乳がんのしこりは胸にできるものだけではありません。わきの下にも乳がんはできます。「乳がんのしこり=胸」と思わずに、幅広い範囲でチェックしましょう。また、現在感じている脇の下のしこりについては、すぐに病院で受診しましょう。
- 自分の胸に小さなしこりのようなものが気になっていますが、検診の予約をしたら、3か月先になりました。しこりも時には気にならないほどの小さなものなので、検診を待っていればいいですか?
- 自己触診でふだんと違うと感じるならば、検診を待たずに、すぐに病院で診察を受けましょう。また、病院で「しこりが気になっていること」をしっかり伝えましょう。
- 胸に小さなしこりを感じたことを友人に打ち明けました。友人は親身になってくれ、「がんに効く食品等」を紹介してくれました。友人の親戚がこれでがんがなくなったということです。私は病院がもともと苦手です。しばらくこの食品等を試してよくならないようなら、病院に行くのはその後でもいいでしょうか?
- どんなに小さなしこりでも、自身でそれを感じるということでしたら、早く病院で診察を受けることをおすすめします。
- 乳腺症との違い、見分け方などあれば教えてください。
- 乳腺症は、乳房に痛みを伴うしこりができたり、乳頭から分泌物が見られたりする症状があり、月経がある人はかかる可能性が誰でもあります。
乳がんの場合は、しこりが痛まないことが多いのですが、乳がんのしこりと紛らわしい乳腺症のしこりがあるので、乳がんの場合と同じように検査します。時には、マンモグラフィ検査だけではなく、細胞の一部を採取して行う生体検査も行うことがあります。簡単に見分けることは難しいので、しこりや痛みがあるなど症状があればすぐに受診しましょう。 - 家族に乳がん患者がいます。発症リスクは高くなるのですか?
- 確かに、母親や姉妹が乳がんに罹患しているという家族歴がある場合や、血縁者に乳がんの患者さんが多数いる場合、遺伝的な要因を受け継いでいることがあり、乳がんになるリスクは高くなります。
ただし、身内に乳がんになった人がいないからといって、こうした遺伝的な要因がないとは言えません。また、ひとりっ子の場合は、気づかないこともあります。さらに、初経年齢が早い、出産経験がない、というように女性ホルモン(エストロゲン)にさらされる期間が長いことが乳がんの発症リスクを高める要因になることが知られています。
検診について
- 20~30代でも、乳がん検診を受けた方が良いのでしょうか?
- 厚生労働省によれば40歳以上の女性がすべきであるとしています。
30歳代になると乳がんの発症率が大幅に増加するため、30代半ば頃から、検診を受けたらよいと思われます。若い世代の方は乳腺密度が高いため、マンモグラフィ検査でも病変が写りづらいため、20代から30代前半までの方は受けない方が良いとする見解もあります。
また、厚生労働省によれば、乳がん検診は2年に1回でよいとしています。若年性乳がんの場合は、進行が早い場合もあるので、気になることがあればすぐに受診することをお勧めします。 - 胸が小さくてもマンモグラフィの検査を受けられますか?
- 胸が小さくて受けられないことはありません。男性が撮影することもあります。
- 乳がん検診はいくらかかるの?
- 乳がん検診は、現在、問診とマンモグラフィ検査・(視触診)を行い、若くて乳腺が発達している場合は、エコー検査を合わせて行うことがあります。(検査の内容は、受診する方の年齢や病院によって違います。)
乳がん検診は40代以降にリスクが高くなっているため、40歳の女性は、市から届く検診のクーポン券を利用することにより、公費で無料検診ができます。(基本検診のみ)。
また、40歳以上で偶数年齢になる女性には、市からがん検診受診券(ハガキ)が届きます。検診の内容は問診・乳房エックス線撮影(マンモグラフィ)検診・(視・触診)を行い、自己負担額は1,600円となります。
上記制度の対象とならない方、40歳未満の方は自費となります。視触診とエコーまたはマンモグラフィ検査を合わせて行うと5,000~7,000円程度かかります。(病院によって多少の金額が違います。また、病院によっては一般健診のオプションとして乳がん検診を実施するところもあります。)
検診は予約制のところもありますので、予約を入れる際に内容と金額を確認することをお勧めします。 - 乳がんはどれくらい発見されるのですか?検診を受けて、もしもがんが見つかったら怖いのですが。
- よく「検診で乳がんが見つかるのが怖い」という話を聞きます。しかし、早期発見・早期治療すればほとんどの場合が治っていますから、「見つかるのが怖いから検診を受けない」というのは間違っています。
例えば、検診を1,000人が受けたとして、要精密検査となる人は50人、そのうち精密検査で乳がんが発見されるのが3人程度です。ですから実際には、 0.3%の方が、乳がんが発見されるのですが、これらの方も、ほとんどの場合が治療で治る場合が多いので、定期的に検診を受けて、より小さい段階で見つけて治療することが大切です。
早期発見により、本人はもとより家族の心の負担も小さくすむのではないでしょうか。また、がんの発見が遅れるほど、治療費も高額になります。 - おすすめ乳がん検診施設ってありますか?
- 乳がん検診で、マンモグラフィ検査を受けられる病院が、市内にあります。
詳細は、下記のページをご覧ください - 乳がん検診施設を選ぶポイントは?
- 乳腺外科・乳腺外来がある
・乳腺専門医がいる
・日本乳がん検診精度管理中央機構の認定する、読影医・撮影技師・撮影機器の施設 - 乳がん検診に行く時に、子どもを預けたいのですが、病院には託児がないといわれました。どこかで預かってもらえるところはありますか?
- 認定こども園や認可保育園の一時預かり、認証保育所等のビジターでの預かり、ファミリー・サポート・センターの他、ベビーシッターなどもあります。また、現在幼稚園に通っているお子さんで、預かり保育等の実施園の場合は、園に相談してみてはいかがでしょうか。
- 認定こども園や認可保育園の一時預かり
- 認証保育所等のビジターでの預かり
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- ベビーシッター
監修:聖隷健康診断センター医師 乳がん専門医 吉田雅行氏