災害時要配慮者へ支援物資を配送する仕組み
「つながる支援パック」開発の主旨と経緯
私たちは、東日本大震災が起きた2011年3月11日以降、被害を受けた地域を回り、行政・支援者・当事者などにヒアリングを重ねて調査を行い、「つながる支援パック」を開発しました。
乳幼児がいる家庭やアレルギーのある子どものいる家庭にとって、この時のような大災害が起きた場合、家庭で準備されていた持ち出し品すらも持ち出すことはできませんでした。一般の人とは異なり、必要な物資が手に入らないと生死に関わることにもなりかねません。
そこで、被害を受けた全家庭に支援物資が行き渡るまでの応急処置として、必要な物資が入ったバッグを各家庭に1セット届けられるように配送の仕組みを考案しました。
熊本地震の折、行政(浜松市)との連携は残念ながらできませんでしたが、ボランティアの方の協力を得て、熊本県上益城郡嘉島町、益城町、菊陽町へ実際に「つながる支援パック」を送りました。その後、当団体は、嘉島町に入り状況を確認してきました。この経験を踏まえ、今後も支援物資の配送の仕方等について提案を続けてまいります。
どうぞ、要配慮者へ向けて「つながる支援パック」(支援物資)のしくみの導入をご検討くださいますよう、よろしくお願いいたします。
「つながる支援パック」として被災地に物資を送るメリット
- 物資を大量に箱詰めして配送するよりは,セット化したものを明確なターゲット(要配慮者)に渡せるため、需要数の予測が効率的にできます。
- 在庫はバッグのみで、支援物資は在庫をする必要がありません。コンパクトな空間で保管ができます。
被災時の配送のしくみ
- 支援物資収集
災害救助法が発令されると、防災協定を結んでいた企業から支援物資を収集する。 - 支援パックの詰め込み
社会福祉協議会の呼びかけにより、各地の災害ボランティアで支援物資をバッグに詰め込む作業を行う。 - 被災地への発送
子ども用、アレルギー用の支援パックをそれぞれ箱詰めし、箱には内容物を明記し
て発送。 - 被災地災害ボランティアセンターで開封。被災者1世帯ごとに1パックをそのまま配布する。
- 支援バッグは行政が備蓄しておく。
- 物資は劣化しやすいものがあるので在庫しない。
- 必要なものを必要な時に必要なだけ収集してバッグに詰める。
支援物資のセット例
セットの内容は一例です。支援物資の内容は状況により異なります。
「子どもがいます」支援パック例
「アレルギーがあります」支援パック例
私は現在1歳の子どもと妻と一緒に暮らしています。普段災害支援を行っていますが、改めて自分自身が子育て世代になると、子どもを抱えながら避難生活や災害後の生活再建を進めていくことが、とても大変で苦労が多いことであるとリアルに想像できるようになりました。 子育て世代の困りごとや子ども自体の困りごとは、緊急事態の中では、なかなか声を大にして言いにくい状況があります。それは、当事者になってみないとわからない困りごとが、多々あるからです。そんな時に「つながる支援パック」があれば、見逃されがちな子育て世代や子どもたちに目を向けるきっかけになります。多様な人が助けあい支え合っていくために、「つながる支援パック」は大いに役立つと期待しています。
被災地NGO恊働センター 代表 頼政良太
お問い合わせ
「つながる支援パック」の導入について詳細は当法人までお問い合わせください。